いつも北の方位を教えてくれる北極星は将来別の星に変わる!?
夜空で輝く星は、地球の自転の影響もあり、
時間が経つにつれ、東の空から西の空へ日周運動をしています。
そんな中で、ほとんど動くことなく、
いつも真北の空で見ることができる星があります。
そう、「北極星」です。
私たちに北の方位を教えてくれる北極星ですが、
実は将来、別の星に変わるということを知っていますか?
「動かない」というイメージがある北極星が変わるということは、
なかなかイメージが湧かないかもしれませんね。
星がなくなってしまうのでしょうか?
今回は北極星についてご紹介します。
どうして北極星はいつも北の空に見える?
北極星が別の星に変わる前提の知識として、
どうして北極星はいつも北の空で見えるのでしょうか?
私たちが住んでいる地球は1日に1回回っていることはご存じでしょう。
これを「自転」といいます。
この自転の影響で、太陽や月、星々は
東の空から昇り、西の空へ沈むのです。
この自転の軸となる「自転軸」を伸ばした先(天の北極)にたまたまあるのが、
北極星なんです。
そのため、地上から見ると北極星はほとんど動かず、北の空で見えるのです。
そんな北極星ですが、都会の空では少し見つけるのが難しいかもしれません。
そんな時は、周辺の星を使って見つけることができます。
まずは、北の空で柄杓のような形で並ぶ7つの星、
「北斗七星」を使った見つけ方です。
北斗七星の柄杓の口の部分にあたる先端の2つの星を結んだ線を
そのまま先端側に5倍ほど伸ばしていきましょう。
すると、北極星を見つけることができます。
また、こちらも北の空でアルファベットのWのような形で並ぶ
「カシオペヤ座」を使った見つけ方もあります。
Wの両端のそれぞれ2つの星を結んだ線を伸ばしていき、
その交わった点とWの真ん中の星を結んだ線を5倍伸ばしていくと、
これまた北極星を見つけることができます。
それぞれ共通するワードは「5倍」です。
覚えておくと、きっと見つけることができるでしょう。
遠い過去も未来も北極星は別の星?
さて、ここからが本題です。
ズバリ、北極星は別の星に変わります。
現在、北極星と呼んでいる星は、
実は「こぐま座」という星座の「ポラリス」という星を指しています。
この星が、天の北極と同じ方向にあるため
北極星と呼ばれているわけです。
しかし、勢いを失ったコマが首をふるように回るよう、
地球もこの「首ふり運動」を行っているんです。
この運動を「歳差運動」と呼んでいますが、
これを約26000年の周期で行っています。
(我々、人間にとっては途方もない数字ですね…)
この影響で天の北極も円を描くように変わっていくため、
北極星も別の星に変わるというわけなんです。
実際に、今から約5000年前は
りゅう座という星座の「トゥバン」という星が天の北極に近く、
北極星となっていました。
現在の北極星、ポラリスが天の北極に近づいたのは西暦500年頃からで、
西暦2100年頃に最も天の北極に近づくとされています。
そして今後は、西暦4000年頃からは
ケフェウス座という星座の星が北極星となり、
西暦10000年頃には「夏の大三角」の一角の星、
はくちょう座の「デネブ」、
西暦14000年頃には、これまた夏の大三角の星、
こと座の「ベガ」(日本では織姫星)が北極星になります。
私たちが生きている間は、北極星はこぐま座のポラリスですが、
このように長いスパンで北極星は別の星に変わっていくんです。
まとめ
北極星はずっと同じ星というわけではなかったんですね。
私たちが生きている間はポラリスが北極星ですが、
後世の人々は別の星を北極星として認識することでしょう。
個人的には、織姫星であるベガが北極星となるところを見たいところですが、
およそ12000万年後…来世で見ることができるでしょうか(笑)