駅無人化により不利益を被ったと障害者が提訴
「駅が無人化となったため、移動の自由を侵害された」として
車いす生活者がJR九州を提訴しました。
提訴したのは、大分県に住む3人の車いすを使用する障害者で
JR九州に対し、一人当たり11万円の損害賠償を請求しました。
大分市内にある17駅のうち、10駅の無人化を計画しており
すでに5駅が無人となっています。
訴えに対しJR九州側は、ここ数年の経営悪化から合理化を
進める必要があり、人員を削減し遠隔システム導入を計画。
駅員の介助が必要な場合は、事前に予約していただければ
対応するとしています。
原告側は、急に移動しなければならなくなった場合、駅員が
介助できないとして、健常者と同じ権利が与えなければならない
「障害者差別解消法」に違反すると訴えています。
どういう判決となるでしょうね?
もし原告側勝訴となれば、全国の無人駅に大きな影響を
与えるでしょう。
私の知人は車いす利用者
その知人から話を聞きました。
以下は、その知人の考えです。
↓ここから
私は車いすが無いと移動できない障害者です。
私なりの考えを先に申し上げますと、今回の訴訟はちょっと
ムリがあるかな…と思います。
仮に勝訴すれば、全国の車いす利用者に賠償しなければ
ならないですよね。
私はコンサートに参戦するのが趣味で、よくJRを利用します。
幸いにも今まで無人駅を利用したことが無いので、駅員の方に
たいへん親切に介助していただいています。
電車を利用するのは遠くへ移動する場合なので、日程が
決まっており、予約することにしています。
近くの移動は、「介護タクシー」を利用しています。
訴訟を起こした方が、当日に電車を利用しなければならない
理由は何なのでしょう?
山間部なので病院へ行くにも電車が必要なのかもしれませんね。
障害者は急に体調が悪くなるので、当日に予約なしで電車を
利用しなければならない場合には、無人化は困りますね。
都市部と山間部では、利便性が違いますから。
↑ここまで
障害者差別解消法とは
「障害者差別解消法」は、2016年に施行された法律です。
障害を理由に差別をしてはならない法律で
「不当な差別的取扱いの禁止」「合理的配慮の提供」を
明記しています。
例えば、お店に入ろうとした場合、入り口に段差がある場合が
多いですよね。
法律ではこの段差があることで、障害者の入店を拒否することは
禁止されています。
ただし、そのためにお店側はスロープを作る義務までは
負いません。
必要に応じて店員が介助して入店させればOKなのです。
今回の無人駅の場合は、無人にすることは違法ではありません。
障害者が利用するときに介助できないことが問題なのです。
JR側は、介助するので事前に予約してほしいと主張し
原告側は、予約が間に合わない急な場合に介助してもらえない
ことを問題にしているのですね。
司法の判断はどうなるのでしょう?
行政が解決すべき問題ではないか?
障害者の権利を100%守るには、企業の努力だけでは難しい
でしょうね。
また私の経験をお話ししますが、最寄り駅の東口には
エレベーターがあり、改札口までスムーズにたどり着くことが
できます。
しかし、西口には階段しかなく、電車を利用するには東口まで
迂回しなければなりませんでした。
地元障害者団体は、10年もの間JR側にエレベーターの設置を
歎願してきましたが、実現されませんでした。
そこで、行政に「障害者差別解消法」をもとに改善を訴え
続けたところ、自治体の予算でエレベーターが設置されました。
今回のケースや、今後起こりうる問題については、行政が
より良い解決法を提示していただくことがベストでは
ないでしょうか。
障害者も自分で出来ることは、努力しなければなりません。
民間企業で出来ることは限られています。
「障害者差別解消法」を作った行政の積極的な支援が
必要なのではないでしょうか。
特に公共性の高い問題の解決は、行政の仕事だと思います。