柔道オリンピック代表に阿部一二三が内定
まさに一騎打ち、宿命の戦いが注目を集めました。
2020年12月13日柔道家の聖地「講道館」において東京オリンピック
柔道男子66キロ級代表決定戦が行われました。
代表の座を争うのは、阿部一二三選手と丸山城志郎選手です。
勝った方が日本代表となる歴史的な一戦は、大一番にふさわしい
試合となり、阿部一二三選手が勝利しました。
この結果、阿部選手が東京オリンピックの代表に内定しました。
宿命のライバル同士が死闘を演じました
講道館の柔道会場は異様な雰囲気に包まれました。
“死闘”という言葉がふさわしい試合になったのです。
主審の「はじめ」の掛け声とともに、4分間一本勝負が始まりました。
試合開始から阿部選手がやや押し気味に「技」を仕掛けます。
防戦気味だった丸山選手は、試合時間残り1分27秒に「指導」
の判定。
「指導」とは、消極的な対戦姿勢に対するペナルティで
試合中3回受けると反則負けになります。
このまま両者決め手に欠け、4分間の試合が終了し延長戦に
入りました。
延長1分25秒、丸山選手に2回目の「指導」が…。
あと1回受けた時点で負けとなるので、積極的な攻めに転じる
しかありません。
すると、押され始めた阿部選手が1回目の「指導」を受けて
しまいました。
そして延長11分57秒、阿部選手に2回目の「指導」が。
これで両者互角になりましたが、これ以上の「指導」はアウト。
攻め続けるしかありませんね。
「担ぎ技」が得意な阿部選手と、「返し技」が得意な丸山選手。
両者譲らず試合時間が20分を超える大熱戦となりました。
関係者も”いつ終わるのか“と固唾をのんでいた時、阿部選手が
「大内刈り」を仕掛けます。
その技に対し丸山選手は、返し技を繰り出そうとしましたが
力及ばず阿部選手の「技あり」判定となりました。
実に24分にも及ぶ激闘は、わずかの差で阿部選手が勝者と
なったのです。
阿部選手と丸山選手の4年間
前回のリオオリンピック閉会式で、次の開催国である日本の
プレゼンテーションがありましたね。
そこでスーパーマリオに扮し登場したのが“安倍”総理でした。
その前に流れたイメージビデオの中で、柔道選手が登場しますが
それが“阿部”選手だったのです。
4年前から東京オリンピックの“期待の星”として注目されていた
のですね。
そんな阿部選手ですが、思わぬライバルが台頭してきます。
それが丸山選手だったのです。
丸山選手は、2018年頃から頭角を現し始めます。
2019年の世界選手権で阿部選手を破り、金メダルを獲得しています。
阿部選手は、2017・18年の世界選手権を連破しましたが、昨年は
銅メダルに終わりました。
二人の直接対戦成績は、今回の試合の前までは4勝3敗で
丸山選手が一歩リードしていました。
成績を見ても、甲乙つけがたいですよね。
この二人のどちらがオリンピック代表にふさわしいのか?
オリンピック選考委員が決められなかったのでしょうね。
「ワンマッチ方式」でスッキリした
日本代表候補選手の実力が拮抗していて、誰を代表にするのかは
選考委員が協議して決めるのが過去のやり方でしたね。
選考委員はその道を究めた方が務めていますので、専門的な
見方で選手を選んでいたわけです。
でも、この方式だと選考委員“主観”が入りますよね。
たとえその主観が正しいのであっても、世間の理解が得られない
ケースが起こり得ます。
柔道ではないですが、マラソンの代表選考で、有森裕子選手と
松野明美選手のどちらかを選ぶときに、世間を巻き込んだ
論争になったことを覚えていますか?
曖昧な選考基準では、選手がいちばん納得できないのでは
ないでしょうか。
また、選考委員の影響力が大きくなり、パワハラなどが
起こる可能性もありますよね。
今回の決定戦は、両者の実力が拮抗しているので「一発勝負」
「勝者が日本代表」という方法は、選手が納得できるもので
あったと思います。
負けた丸山選手も、悔しさでいっぱいでしたが、すっきりとした
気持ちで阿部選手をたたえるコメントがありました。
真の「スポーツマンシップ」とは、選手だけではなく関係者や
運営方法も同様であることを学びました。
オリンピックに出場する選手には、敗者の分まで頑張って
ほしいと心から応援したくなりました。
ガンバレ日本!!